Q1: 木造住宅の構造計算には、どのような方法がありますか?
木造住宅の構造計算には主に2つの方法があります。
●仕様規定(壁量計算)
●許容応力度計算
仕様規定は一般的な木造2階建て以下の住宅で広く使用されており、全国の約70%の住宅がこの方法を採用しています。一方、許容応力度計算はより詳細な計算を行い、全国の約10%の住宅で実施されています。
Q2: 仕様規定(壁量計算)のメリットとデメリットは何ですか?
メリット:
比較的簡易な計算で済むため、時間とコストが抑えられる。
一般的な2階建て以下の木造住宅では十分な安全性を確保できる。
デメリット:
バランスの簡易計算のみで、詳細な構造解析は行わない。
複雑な設計や大規模な建物には適さない。
Q3: 許容応力度計算のメリットとデメリットは何ですか?
メリット:
建物の強度を細かくかつ正確に計算できる。
住宅の安全性、耐震性を高い精度で証明できる。
地震時の建物のねじれや、重さと建物の硬さのバランスまで確認できる。
大規模な建物や特殊な設計にも対応可能。
デメリット:
計算が複雑で時間がかかる。
コストが高くなる傾向がある。
Q4: どのような場合に許容応力度計算が必要になりますか?
これまでの建築基準法では、以下の条件を満たす木造住宅は「4号建築物」として分類され、構造計算書の提出が不要とされてきました。
木造2階建て以下床面積500m²以下
高さ13m以下
軒高9m以下
この「4号特例」により、多くの木造住宅が簡易的な壁量計算による安全性の確認で済まされてきました。しかし、2025年の法改正によって、これまで建築確認・検査の対象ではなかった、4号特例に該当する建築物の範囲が縮小されます。
具体的な数字で言うと、平屋かつ200㎡以下の建物のみが、今後構造計算書の提出免除の対象となり、それ以外の木造建築物では構造計算書の提出が必要になります。
これにより、国内の木造住宅の多くは新しい基準に適合するための構造計算を必要とすることになります。